ごちゃごちゃ付いているものはなに?
写真はリブリーザーおじさんの友達のおじさん。いろいろ普通のダイビングとは違うものがついている。物々しい装備に見えるのはリブリーザーおじさんの目が笑っていないから。
どういう仕組みになってるの?
リブリーザーが普通のスクーバと違うところはたくさんある。物々しく見える装備もそうだが、水中で一番不思議に見えるのが泡が出ていないことだ。それは吐いた息を捨てないで再利用しているからだ。
ピンクの矢印
吐いた息。酸素が少なめで二酸化炭素が多めになっている。
水色の矢印
吸えるガス。二酸化炭素が取り除かれ、酸素量が調整されている。
人間の肺はリブリーザーシステムの重要なパーツだ。
ガスをくるくる動かすポンプの役割だ。呼吸を止めればガスは停滞し、呼吸を始めればガスは回り始める。
ダイバーの頭の上から見るとガスは時計回りで流れるように作られている。
吐いた息は背中に回り二酸化炭素が取り除かれる。そして、コンピュータが酸素量を解析し、必要に応じて酸素を追加してくれる。全自動。ダイバーの仕事は息をすることとエラーが起きていないかモニターをチェックしてあげることだけだ。
おじさんたちは情報が集約されるディスプレイを左手の甲につけて潜る。
エラーチェックは大切なのでいつでもすぐに見られる場所につけてある。情報は大変整理されているのでおじさんたちはチラッと見るだけだが、しょっちゅう見る癖がついている。
意外と小さいPoseidonリブリーザー
Poseidonリブリーザーはとてもコンパクトな設計だ。横幅があるので大きく見えるが、持ち上げてみると一般的なスクーバ器材との違いは3kgほどだ。ふだん12Lスチールシリンダをつけているダイバーなら重さはほとんど同じ。
次の比較写真のオープンサーキット(普通のスクーバ)は10Lシリンダで組み上げてみた。
リブリーザーはここが違う
驚きの潜水時間
リブリーザーは完璧なガスのリサイクルシステムなので潜水時間は異様に長い。ポセイドンリブリーザーは取扱説明書の中で水中滞在時間を2時間と説明している。読者がダイバーなら「どの深さでの話?」とまっとうな疑問を持つことだろうが、おじさんたちの答えは「どの深さでも」である。
この長い潜水時間は長時間潜っていられるということだが、普通のダイビングならこの1セットで3ダイブぐらい普通にできるということでもある。オープンサーキットならシリンダを3本用意する必要がある。オープンサーキットは大変だ。
長い潜水時間は水中で時間的余裕を生む。一度隠れてしまったハゼをいつまでだって待つことができるし、ハゼにストレスを与えることなく超スロースピードで近づくこともできる。
泡が出ない
オープンサーキットの排気泡はブクブクと大きな音を立てている。音は振動。ブクブクブクブクとダイバーが近づけば、小さな魚たちは相当な振動を受けることになる。大型ダンプが自分に向かってくる以上に怖いはずだ(と思う)。
喉が渇かず体が冷えにくい
ダイバーの体が冷えるのは水の中にいるからだけではない。シリンダから吸う冷たく乾燥した空気が体を内側から冷やしてしまう。乾燥した空気は呼吸するたびに肺から水分と蒸発熱を奪う。
リブリーザーでは肺から水分や蒸発熱が奪われる心配はほとんどない。吸気ガスには十分な潤いと暖かさがある。湿気が多く含まれている温かい呼気をリサイクルして使うからであり、二酸化炭素を取り除く際の化学反応で熱と水分が生み出されるからである。
仕事で使うなら
大深度潜水作業
高気圧作業安全衛生規則の改定により、40mを超える深度への潜水はヘリウム混合が必須となり、大変高価なダイビングになった。希少ガスであるヘリウムを捨てずに使うリブリーザーは効率的だろう。
研究と撮影
長時間の観察が必要な研究や、気配を消さないと難しい撮影などを担当するダイバーにはうってつけ。